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Memory of Night 2
第40章 罪
「……すっげーお人好しでいい人だけど、一歩間違えたら、あの人も死んでたよ。晃のおかげでどうにか手術もできて、退院できたから良かったけどさ、そんなんただの結果論じゃん。俺が施設に行ってたら、少なくとも志穂さんは入院しなくても済んだはずだ。三年も病室で過ごさなくて済んだ。ーーあんたはどっちが最善だったと思う?」
そう問うてくる宵の表情は、とても真剣なものだった。
千鶴は何も答えられなかった。施設に行くのが、少なくともその時の状況では、最善だったのかもしれない。だがそれを答えれば、志穂の気持ちを無下に扱ってしまうような気がした。
桃華と秋広の葬儀の日、参列者達に頭を下げる若すぎる娘の決意に満ちた横顔を千鶴は思い出していた。
自分が選べなかった選択を彼女はしたのだ。今なら素直に、彼女を認めて敬意を示すことができた。
「ーーあの志穂って女に引き取られた今の選択が最善だよ。だっておまえ、すげー真面目に育ったじゃん」
「……え?」
「晃に出会うまで、金でしかヤッたことないんだろ? しかもその手術費用集めるためってことは遊びでセフレとかも作ったことないだろ? その顔でそれは、無いわ。晃を見習え」
「……いや、あいつと一緒にすんな」