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Memory of Night 2
第41章 タイムリミット

ここから出られなければ、どうせ死ぬ。だったら、意識を無くしたままでいる方がきっと楽なはず。
宵はスマホで時間を確認した。アメリアが助けを呼んでくれたとしても、とても間に合うとは思えなかった。
タイムリミットまで、あとどのくらいか。
(長話してる場合じゃねーよなあ……)
宵はスマホで地面を照らし、立ち上がった。
左足は痛むが、逆を言えば痛むのは左足だけだ。腕さえ使えれば、やれることはある。
手頃な石を見つけ、土壁の前に立った。
千鶴が目覚める前に散々やってはみたが、なかなか掘り進めるのは難しかった。岩は硬く、土は逆に柔らかいため上から重なって落ちてくるだけ。無謀なことも承知していたが、それ以外にできることはない。
宵は手に持ったままのスマホにもう一度目を向けた。電波は変わらず圏外のままだ。晃に、自分達が生きていることだけでも伝えたかったが、それもできそうになかった。スマホの電池も二〇パーセントを切っている。
ーーアメリアは、本当に助けを呼べたのだろうか。洞穴のなかで生きていられる時間は、あとどのくらい?
宵はかぶりを振った。考えちゃだめだ。冷たい土壁に左手を添え、宵は石を振りかざした。ざく、ざく、と洞穴内に音が響く。宵は何も考えないよう努めながら、ひたすら無心で土壁を掘っていった。

