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Memory of Night 2
第41章 タイムリミット

音はどんどん大きくなり、地響きのような振動が伝わってくる。
やがてゆっくりと姿を表したのは、小型の重機だった。
「……良かった、登ってくれたんだな」
亮が言う。ゆっくりと近付いてくる重機は、穴を掘るためのユンボという機械だった。前にシャベルがついていて、効率よく掘れる。
「遅くなってすまない! ずっと使ってなかったものだから、燃料を入れていたんだ。ハルちゃんも宵くんもすぐに助け出す」
乗っていたのは持ち主らしい土方本人だった。
男達はすぐにその場を退いた。
さすが機械。一度掘るだけで、人力よりは遥かに奥まで穴を掘れる。
だが、あまりに勢いよくやると、奥に空いたスペースまで崩れてしまいかねない。土だけでなく、洞穴の中の二人の体を傷つけてしまう可能性だってある。
そこは慎重に行かなければならない。
それでも、手堀りよりはだいぶ時短になるはずだ。
その直後、今度は晃のスマホが鳴った。耳に当てるとレスキュー隊だった。
応援が呼べ、こちらに向かい始めているという。
救出のための準備はみるみる整っていく。
あとはひたすら掘っていくのみ。
晃も亮も男たちも、ユンボに巻き込まれないよう慎重に作業を再開した。

