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Memory of Night 2
第41章 タイムリミット

 宵は再び石を右手に持ち替え、甲を包むように左手を重ねた。
 大きく振り上げる。肩も鈍く痛んだ。
 土を掘っても意味はなかった。上からまた崩れ、わずかに掘り進められたとしてもすぐにまた新しい土に覆われるだけだ。だったら岩のような堅い部分をどうにかするしかない。
 ふと、受験が頭をよぎった。ここ数ヶ月担任に薦められていた大学を目指し、シャーペンを握り続けてきた。共通試験はもうすぐだ。無理をすれば受けられなくなってしまうのではと思ったが、すぐに自重気味の笑みが漏れた。
 死んでしまったら受験もくそもないのだ。右手を庇ってなんの意味があるのか。
 宵は何度か深く息を吸い込み、力いっぱい振り下ろした。

「……っ!」

 指からボキッという鈍い音が鳴り、激痛が走る。嫌な音だった。多分指の骨が折れてしまった。それでも、躊躇してはいられない。痛みは無視し、繰り返し腕を振り下ろした。
 悲鳴はなるべく押し殺したが、右手の激痛は増すばかり。多分何本も何ヵ所も折れてしまっているか、砕けてしまっているような気がした。
 夢中で石を振り下ろし続け、ようやく目前の堅い塊が砕けた。だが、土の塊の向こうは、変わらず土壁だった。
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