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Memory of Night 2
第41章 タイムリミット

(……ま、そーだよな)
そんな簡単に出られるはずがない。
何か方法はないのか。
宵は石を落とし、上着の前を緩めた。
息苦しさは増すばかりだが、どうすることもできない。頭痛がした。手の震えも、長い時間力をこめていたからだけではなさそうだった。酸欠による痺れ。
再び石を拾おうとして、ポタポタと垂れる血に気付いた。右手から滴る血。腫れて、不自然に曲がった指達は、もう宵の望むようには動かない。
宵は膝をつき深く息を吸い込んだ。繰り返しそうしても、酸素を上手く取り込めない。呼吸は苦しくなるばかりだった。
脳裏に晃の顔が浮かぶ。こんなことになるなら、一言声をかけて出てくれば良かった。もしかしたら、心配してついてきてくれたかもしれない。
そうしたらもっと違った結末になっていたかもしれない。
(もう、会えねーかな……)
それが一番心残りだった。
だがどこかで、助けにきてくれるような気もしていた。以前不良達に襲われた時のように。
今の状況でそんな奇跡を信じていられる自分にも呆れてしまうけども。
目が霞む。宵がそっと目を閉じた時だった。
突然地鳴りのような音がして、目前の土壁が振動した。

