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Memory of Night 2
第42章 入院生活

それからしばらくして、看護師が二人のもとを訪れた。検温か何かかと思ったら、見舞いにきてくれた人がいるのだという。
看護師の後ろから現れたのは、ローズのマスターこと三浦亮だった。
普段とは違い、スーツは着ていない。下ろした髪に厚手のパーカー姿だった。雰囲気がガラリと変わっているせいで、宵には一瞬誰かわからずに戸惑った。
だが亮は看護師が出ていくのを見送ったあと、真っ先に宵に頭を下げた。
「……いろいろと、迷惑をかけてしまって申し訳なかったね。怪我は大丈夫かい?」
「はい、どうにか。あ……すみません」
宵が体を起こそうとすると、すかさず背中に手を添え手伝ってくれる。
「……本当に無事で良かった」
それからもう一度深々と頭を下げた。
「ーーハルちゃんのことも、助けてくれてありがとう」
宵は膝を庇いつつ、亮の方に体を向けた。それから千鶴へと視線を移す。
亮とは一度容態を伝えるために電話で話したが、細かいことは説明していなかった。千鶴が洞穴内にとどまっていたことも、庇ったことも言っていない。千鶴自身どんなふうに伝えていたのかも宵は知らなかったが、この様子だと正直に話しているのかもしれない。

