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Memory of Night 2
第42章 入院生活

だからか、と宵は内心ため息をついた。だから病室に来た時から看護師は怒っていたのだ。
どうしてそんなことをしてしまうのか。煙草でも探していたのだろうか。
今回は亮の態度や言葉に苛立ったからだろうが、それまでの脱走理由は気になる。
全身打ち身だらけで骨折もして、腹なんか切れているのだから、安静にしていてほしいのに。
「馬鹿なんだよ。放っておけばそのうち戻るだろ。ハルちゃんの軽率な行動で、君は死にかけたんだよ。……彼女はもっと反省した方がいい。ーーいちご、食べるかい?」
亮は提げていた白いビニールの袋から、パックに入ったいちごを取り出す。そうして宵の返事も待たずヘタを取り除き始めた。
「……別に、春加さんに無理矢理洞穴に連れていかれたわけじゃないっすよ。春加さんが洞穴の下見に行く時に、勝手についていったのは俺なんで。むしろ止められてましたよ、怪我するから来んなって」
「でも、崩れかけた洞穴からハルちゃんは……」
「怪我で動けなかっただけです」
宵は亮の言葉を遮った。
「……事故の状況を周りからどう聞いたか知らないですけど、彼女は怪我で洞穴から出てこれなかっただけですよ。別になんもあっちに非はないし、俺が勝手に彼女を庇っただけです」

