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Memory of Night 2
第42章 入院生活

 誰に、どこまで聞いているのかわからなかったが、宵はそう言い切った。もしかしたらアメリアや千鶴本人から洞穴に閉じ込められた経緯を聞いているかもしれない。
 微弱な揺れの直後、千鶴は洞穴から出なかった。その時点では怪我はまだしていなかっただろう。あの時すぐ飛び出していれば、そもそも生き埋めにだってならなかったのだ。だけどあの時の彼女にはそれができなかった。千鶴の中にある希死念慮が、その場に彼女を縫い留めていたからだ。
 そんな状態だった千鶴を責める気には、宵にはどうしてもなれなかった。多少話を盛りはしたが、条件反射のような行動だったとはいえ自分から洞穴に飛び込んだのは事実だ。
 亮は宵に、話の矛盾や食い違いを指摘してはこなかった。

「それでもだ。どうして勝手に洞穴なんかに……僕に一言くれてたら」

 漏らしたのはそんな言葉だった。
 亮の瞳が、鋭くなる。無意識なのか、拳まで握りこんでいた。
 いちごのヘタを取っていた手を止め、じっと赤い粒を見つめる瞳に宿るのは、苛立ちのようだった。
 宵は最初、千鶴へのそれだと思った。勝手な行動をし、宵に怪我をさせ、店へ迷惑をかけた千鶴への怒り。
 だが、もしかしたら全然違うのかもしれない。
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