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Memory of Night 2
第42章 入院生活

「……マスターがそんな感情剥き出しな顔になるの、珍しいっすね。初めて見ました」
「え?」

 我に帰ったように、亮は一度瞬きした。軽く深呼吸し、再びヘタを取り始める。

「一個聞いていいですか?」
「ん? なんだい?」

 宵の質問に、亮が振り向く。

「春加さんて、酒飲むといつもあんなうるさいんすか?」
「……お酒?」

 急になんの話題だろうかと、亮は戸惑ったような表情をしたが、すぐに頷いた。

「まあ、うるさいね。途中でやめられないから、動けるうちに連れ帰らないと完全に潰れちゃうし」
「めんどくないんすか? 相手すんの」
「え?」

 亮は目を開き、やがて声をあげて笑った。

「……めんどくさいよ」
「なのに、なんでいつも迎えに行ったり看病してあげてたんですか? 彼女の車のスペアキーまで持って」
「……前にも言っただろう? お店の、ためだよ」
「じゃあもう今回の件でクビですよね? 高校生の俺を勝手に雇おうとしたのも本当は駄目なんでしょ? こんな大事(おおごと)にして、もし俺がマスターと辻褄を合わせなかったら、ヤバかったんじゃないですか? 店、続けられなくなりますよね。警察にしょっぴかれる可能性もありますよね。春加さんの行動で、大切にしていた店が続けられなくなっちゃうリスクがある。彼女を雇い続けるメリットなんてありますか? デメリットの方がでかいですよね。なら、クビにした方がいいって思わないんですか?」
「…………」
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