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Memory of Night 2
第42章 入院生活

 宵は亮を見上げ、トーンを変えず、矢継ぎ早に質問を続ける。亮は宵を見下ろしたまま、何も答えなかった。

「クビに、しますか?」

 宵は再度問いかける。亮は口を開きかけるが、すぐに閉じてしまう。

「ーー彼女のこと手放せないくせに」

 やがて宵は、小さく笑った。

「店のため、なんて半分口実でしょ? じゃなかったら、マスターはお人好しすぎると思う。今だって、イラついてしょうがないんじゃないですか? 春加さんを危険な目に合わせてしまった自分のこと、許せないんじゃないんですか?」

 ここに来てから亮はずっと苛立ったような態度だった。それは春加にではなく、きっと亮自身にだ。苛立ちを隠すこともできず、千鶴に八つ当たりまでしてしまっている。

「本当は彼女のことーーむぐ」

 ふいにいちごを口に入れられ、宵は言葉を遮られた。
 黙れということだろうか、と思う。

「……苛立ってるとわかっていて、よく火に油を注ぐようなこと言えるな、君は」

 ヘタのない真っ赤ないちごはみずみずしくて甘かった。
 亮の瞳が不機嫌そうに細められる。
 さすがに怒らせてしまっただろうと思ったが、亮は言い返してはこない。それはおそらく、指摘したことが図星だからだ。
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