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Memory of Night 2
第42章 入院生活

自分のせいで宵に怪我をさせた。洞穴で過去をぶちまけ気を失ってしまったらしく、結局どう助けられたかはわからない。気付いたら全て終わっていて、病院のベッドにいた。
大勢で救出作業を行ってくれて、レスキュー隊も出動した。千鶴も、宵もそのまま入院になった。
こんな、地元から離れた東北の病院にしばらくの間居なければならなくなり、ただでさえこっそり働かせてるのに、隠し通すのは難しいだろう。
晃だって受験間近なのにこんなことになってしまい、申し訳なく思う。
(あれ、宵って就職だよな? こんな時期に足も手も怪我してて大丈夫なのか?)
足はともかく、手は七ヶ所も怪我をしているという。宵の右手は元通りに、不自由なく使えるようになるのだろうか。右手にもし障害が残るようなことになったら、そんな状態で働ける場所など見つかるだろうか。
千鶴は一気に不安になった。
助かったことはもちろんめでたい。だが押し寄せてくる現実的な問題は深刻だ。心配である。
(そりゃ、キレるか……)
亮が怒るのも無理はない。それだけのことをしてしまった。
千鶴は壁に両手をつき、何度か深呼吸した。
食べてないせいか、ベッドにずっといる生活が続いているせいか、ほんの少し歩くだけでもすぐ息切れしてしまう。
本当は車椅子での移動を強く勧められたが、千鶴は拒否した。乗ったり降りたり漕いだり、面倒極まりなかった。

