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Memory of Night 2
第42章 入院生活

電気はつけなかったが、破れて穴の開いたカーテンから西陽が差し込んでいたので、物置の中は明るかった。冬は、日が沈むのが早い。
橙色の室内はどこか幻想的で美しかった。
ぼんやりと座ったままでいたら、唐突にドアが開いた。
もう看護師に見つかってしまったのだろうか。
またガミガミ怒られるのを千鶴は覚悟したが、ドアの前に立っていたのは予想した人物ではなかった。
「ーー本当に、ハルちゃんは狭くて汚い散らかった場所が好きだよね」
呆れたような物言いではあったが、それはいつもの、穏やかな声だった。
そこにいたのは亮だった。鮮やかなオレンジ色を浴びて、下ろした黒髪が艶めいて見えた。
「……なんでいんの?」
「なんでって、迎えにきたに決まってるだろう。宵くんに、早く春加さんを連れ戻してきてくださいって怒られちゃったからね」
「怒られた? あいつ、マジで怖いもの知らずだな……」
だが、疑問はそういうことだけではない。どうして亮が迎えにきたかはわかったが、どうしてこの場所がわかったのかも気になるところだ。
そのまま疑問を投げかけると、亮は笑った。
「そんなのすぐわかるよ。狭くて汚くて散らかった場所を探せば、ハルちゃんはだいたい見つかる」
「なんだ、それ」

