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Memory of Night 2
第42章 入院生活

 だが、亮ならやりかねない。
 千鶴は涙をぬぐった。見放されそうになったわけではないことに、安堵してしまっている自分がいる。
 ふいに亮は、透明なクリアファイルを差し出してきた。中には新聞の切り抜きようなものが挟んである。

「……何?」

 読めということだろうか。

「ラブレターらしいよ」
「……ラブレター、らしい?」

 ラブレターという単語も、他人事のような亮の言い回しも気にはなったが、記事の内容は物騒極まりないものだった。
 簡潔に言ってしまえば指定暴力団の幹部が逮捕され、警察に解散届けが提出されたという見出し。

「これって、まさか……」
「ーー僕が昔、お世話になっていたところ。七年前に総長が代わっていたみたいだけど、やっぱりもう、時代に合わないね、そういうの。年々警察の目も厳しくなって、悪さもできなくなってたみたいだけど。ようやく上が逮捕されて、ちゃんと解散してくれたらしい。もう君に危害が及ぶことはないよ」
「じゃあ、やっぱり……」

 亮は知っていたのだ。あの日ローズの帰りに、深夜の公園に連れ込まれて何をされたかを。
 千鶴は両手で自分の肩を抱きしめた。今もまだ、思い出すと恐怖で体がすくむ。亮は自分が着ていた上着を千鶴に羽織らせた。
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