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Memory of Night 2
第43章 受験の女神様

 さっきまで苛ついていた人と同じ人物の気遣いとは到底思えないが、心配してくれる声は純粋に嬉しかった。
 『早く元気になってね!』や『また一緒にお仕事しようね!』など、体調を気遣うメッセージなどが多い中、土方だけはぶれない。
『宵くん、怪我は大丈夫? みんな心配しているよ。元気になったら、今度こそ縛らせてね』とあった。
 こんなオープンな色紙上に書くことか? と呆れはするものの、彼に助けられたのは事実なので、今度会ったらちゃんと礼はしようと思ってはいた。

「ありがと。みんなちゃんと帰れたんかな?」
「帰れただろ。新幹線に乗れば、嫌でも地元まで運んでってくれるよ。亮も今日帰って、明日から店開けるって」
「今日帰って明日から?」

 もう夕方だ。関東に着く頃には何時になるやらわからない。何日も閉めていた店を開けるには、掃除やメニューに必要な材料の買いだし、仕込みなども必要だろう。全部一人でしていたら、夜中までかかってしまうのではないかと思う。

「知らん。戻って手伝える状態でもないし、気にしなくていいよ。開店準備が間に合わなければ、早めにバイトの誰か呼ぶだろ」

 千鶴は一蹴し、自分のベッドに戻ってしまう。腹を庇いながらゆっくりと腰を下ろしている姿を見届け、宵は思い出したように言った。
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