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Memory of Night 2
第43章 受験の女神様

 そんな裏社会の事情、宵は知らなかった。亮が記事に載っていた暴力団に属していたらしいこともわかったが、具体的にどんなことをしていたのか少しだけ気になる。だが聞くのが怖い気持ちもある。

「本当かどうか知らないけどね。亮ほど悪いことしてた知り合いも、周りにいないし」
「ふーん」

 理由はどうであれ、それは千鶴が望んでいた結末のはずだ。だから、かける言葉はこれで合っているはず。

「ーー結婚、おめでとう」
「そうしたら、亮はおまえの叔父になるんだな」
「あー……確かに」

 この状況にもデジャブを感じずにはいられない。志穂が弘行と結婚した時も、世話になっていた志穂の主治医が突然父親になったのだが、今度はバイト先のマスターが叔父になるらしい。
 穏やかな笑顔とそれとは対照的な、上半身にびっしり描かれた刺青が頭をよぎり、宵は軽く身震いした。

(怒らせねーように気を付けよ)

 つい生意気な態度を取ってしまったが、亮は本当にヤバイ人のような気がする。なんというか、オーラが違うのだ。

「ところで、進路は大丈夫なのか? 高校卒業したら就職するんだろ? 就職活動なんてしたことなかったから知らないけど、もう働き先とか決まってんの? それとも、これからやるの?」
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