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Memory of Night 2
第43章 受験の女神様

「……ま、今回は俺はいっかなーって、受験。晃みたいに、やりたいことが決まってるわけでもねーし」
「試験、いつなの?」
「来週の土日」
「……そっか。本当にもうすぐなんだな」

 千鶴は声のトーンを落とし、呟いた。それじゃ確かに無理だと思ったのだろう。そんな近々では、まだ骨はくっつかない。シャーペンすら握れないのでは受験のしようもない。

「しょうがねーって。受験料無駄になっちまったけど、別に今回がダメでも、来年受けりゃいいし、どうにかなるだろ。あと一年、バイトでもして……」
「ーーだったらその間、あたしんとこで働くか?」
「え?」

 あたしのとこで、というのは新しくオープンする千鶴が任せられた店の方だろうか。

「別にローズのままでもいいし、他に行きたければ自分でバイトを探してもいいけど、手が不自由な間は厳しいだろ?」
「それ、あんたんとこでも一緒じゃね? 片手じゃできることに限界がありそうだけど」
「お客さんの相手してくれたらいいよ。どうせ最初はローズから流れてくる人しか来ないだろうし。……でも、あたしのとこで働くって言ったら、晃がうるせーか。もし、他の働き先が決まればそれでいいし、それまでの繋ぎでも別にいい」
「すげー好条件じゃん。なんか企んでねーよな?」
「別に、なーんも」

 千鶴はわずかに瞳を伏せた。
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