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Memory of Night 2
第43章 受験の女神様

「無理しない方がいい。大学なんてまた来年受ければいいんだし、ゆっくり体、治しな」
電話での報告だったが、晃はそんなふうに返してくれた。
実家に帰って受験勉強に励んでいるはずの晃だが、相変わらず連絡はマメである。
今回も電話の相手は晃だろうと思い、誰からの着信か確認もせずに通話を押した。
「もしもし」
「あ、あけおめー!」
だが、スマホ越しに聴こえてきた声は全然違っていて、宵は思わずスマホを耳から離し、ディスプレイを見た。そこに表示されていた名前は、クラスメイトの菊地明だった。
「……明?」
「あれ、もしかして寝てた? もう十一時だよ! 昼夜逆転しすぎじゃない? てかちゃんと勉強してるー?」
「…………」
宵は無言でスマホを耳から少し離した。
寝起きで、発熱してる中、明の声は耳障りでしかなかった。
「あれ、繋がってる? おーい、もしもーし!」
「…………あけおめ」
「今その返し!? 電波悪い?」
スマホ越しに明は笑った。その声すら、頭に響いた。熱のせいか頭痛も少しある。
「あけおめ言うための電話?」
「違う違う。実は今、合格祈願で有名な神社にお参りに来てて。受験がもうすぐそこなあんたとアッキーに、お守り買ってこうと思ってさ。何色が好き?」

