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Memory of Night 2
第43章 受験の女神様

 女性の話し声で宵は再び目を覚ました。
 昼食の時間なのかと一瞬思ったが、そうではないらしい。

「え、彼女さんてこと?」
「いえいえ、そうじゃなくて、あたしは宵の高校の同級生で……」
「そんなわけないですよね! だって住んでるとここっちじゃないでしょ? 確か……」
「ーーあ、起きた?」

 宵が横になっているベッド横に立つ二人の女性。一人は毎日顔を合わせている担当の看護師だったが、もう一人は病院関係者ではなかった。
 起きた? と言ってこちらを見下ろしていたのは、先ほど電話した、菊地明。淡いベージュのもこもこした上着に赤いチェックのマフラーを巻いている。

「…………?」

 もうわけがわからなかった。宵の頭にはいくつもハテナマークが浮かんでいる。
 ここは東北の病院のはずではなかったか。知らぬ間に地元の病院に転院させられたのだろうか。それともまだ、夢の中なのか。

「……酷い怪我してるんでしょ? 大丈夫?」

 顔も声も明だった。こんな場所にいるはずがないのに。

「…………誰?」

 口からするりと、疑問が滑り落ちた。
 幻? ドッペルゲンガー?
 ドッペルゲンガーは、三人見たら何かよくないことがあるんだっけ、と、寝起きの働かない頭で昔聞いた都市伝説を思い出す。
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