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Memory of Night 2
第43章 受験の女神様

「ーーだったら、諦める必要ないじゃん、受験! 共通試験は全部マークだから! 自分の名前さえ書ければいける!」

 明はバッグから小さな紙袋を取りだし、さらに中を漁って青いお守りを一つ、差し出してきた。渡されるまま宵が左の手を開くと、そっと手の平(ひら)にお守り置いてくれる。

 そこにはシンプルに、『合格祈願』と書かれていた。

「あげる。ちょっと待ってて」

 明はそう言い残し、部屋を出ていく。数分で戻ってきた。
 息を弾ませ、病室にかけこんでくる。

「下の売店にあった! これに名前書いて練習しなよ!」

 そうして勢いよく目の前に突きだされたのは、ノートとシャーペン、消しゴムだった。

「せっかく今まで勉強頑張ってきたんでしょ? 試験は二日間だけだから! その間だけ死ぬ気で頑張れ! そうしたらぶっ倒れてもいいから! あんたが合格するよう、全力で祈ってきたから!」

 明の薄茶の瞳が、メラメラと燃えていた。
 いつだって成績は常に上位な彼女は、普段から努力しているのだろう。文化祭などのイベント事には二百パーセント全力なパワーで臨んでいるし、明のマインドにはただただ圧倒されてしまう。実際文化祭のあと体調を崩していた明を思い出し、つい噴き出してしまった。
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