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Memory of Night 2
第43章 受験の女神様

(会いたい)
晃の心の中に、自然と浮かび上がってきた感情だった。怪我の具合が心配なのもあるが、それだけではない。もう半月近く、顔を合わせていなかった。
スマホ越しではなく、会って話がしたい。顔が見たい。宵に触れたい。そんなふうに思ってしまう。
「あ、アッキー!」
ふいに、女生徒に名前を呼ばれた。
アッキー、と呼ぶ子は一人しかいないので、すぐに誰かわかってしまう。
「おはよう、明ちゃん。この前は合格祈願のお守りありがとね、ちゃんと鞄につけてきた。今日は彼氏さんの応援?」
「どういたしまして。まあ、そんなとこかな。アッキーのことも応援してるよ、頑張って!」
明は製菓の専門学校に進学するので、共通試験は受けない。だから本来ならここに来る必要もないのだが、大山に会いに来たのだろう。
「ああああ、これ受かったら、明と遠距離確定じゃん!」
明の隣で大山は頭を抱えてみせる。
「……あんたが受かっても受からなくても、あたし東京の専門だもん。遠距離は確定してるけど?」
「……そーだった」
「明ちゃんはもう受かってるんだね。おめでとう」
「うん、ありがとー! AOで受けたから、十月頃には決まってたんだ」

