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Memory of Night 2
第43章 受験の女神様

将来パティシエを目指す明は、受ける学校も決まっていたようだ。学力だけを見れば進学を目指しても高いレベルの大学を狙えたと思うけれど、あえて専門を選んだのはやりたいことがはっきり決まっているからだろう。
そこに向けての明確なビジョンがあるのは、それはそれですごいことだと晃は思う。
「宵は……やっぱり無理だったのかな」
明はキョロキョロと、南風高校の生徒たちを見渡した。
年明け新学期が始まってからも、宵は学校には一度も出席していなかった。まだ退院できないということなのだろうか。
「左足の骨折と、右手の指七ヶ所折れてるみたいだから、そう簡単に退院させてくれないだろうし、退院できたとしても、受験は厳しいかもね」
「七ヶ所!? そんなに折れてんのやばっ! ていうか何をしたらそんなに何ヶ所も折れるの!?」
「あいつ一体冬休みの間何してたんだ!?」
明も大山も、目を見開いて引くほど驚いていた。
「あー、やってしまった。受験頑張れ、なんて無責任に言わなきゃ良かったかな。なんかあの時、熱もあったみたいだし」
「え、熱? 宵が? それ、いつ?」
宵とは毎日連絡を取っていたが、そんな話は聞いてない。

