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Memory of Night 2
第44章 リハビリとマッサージ

リハビリやマッサージに関して言えば、足もそれなりに痛かったが、指の方が比べ物にならないくらいに痛みが強かった。専門のスタッフに尋ねると、なんだか専門的な説明をされ、よくわからなかった。わからないなりに、真剣にやらないとまずいということだけは理解できた。
家で自分でできるマッサージ方法なども教えてくれたので、夜もなるべくやれる範囲でやった。家にいる時は、弘行も積極的にマッサージをしてくれた。
ーーそして、二月の二週めの土曜の昼間、ようやくアパートに帰ってきた。
弘行はもう少し一緒にいた方がいいんじゃないかと言ってくれたが、だいたいのことは一人でできるようになった。不自由な右手に替わり、左手が異様に器用になったのも一人暮らしに戻れると考えた理由の一つだ。
宵は久しぶりに戻ってきたアパートの鍵を開け、中を見渡した。
七階建の一番上、オートロックの3LDKに比べるとかなり狭く感じはするが、住み慣れた場所が一番だった。
「ただいま」
つい癖で、いつもの挨拶を呟いてしまう。
声が返ってくるはずなどないと思っていたがーー。
「ーーおかえり」
響いたのは背後からで、宵ははっとして後ろを振り向いた。そこには、大好きな恋人が立っていた。
晃は郵便物を三つ持っていた。宵に差し出す。

