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Memory of Night 2
第44章 リハビリとマッサージ

「はい、これ。電気料金十四日までだよ。他にも大事な書類とか届いてたら君に届けてあげようと思って」
「……マジでマメ」
「まーー全部会いにいく口実だけどね」
晃の腕が背中にまわり、ぎゅっと抱きしめられる。何よりも安心する匂いと体温だった。
自分も両腕を晃の背にまわそうとして、右手に鋭い痛みが走る。無意識に折れた指を曲げてしまっていたようだった。普段ならなんでもないような動作が、痛みによって阻まれる。その状態が鬱陶しくて、不便で苛つく。
晃は宵の体をそっと離し、宵の右手に触れた。
「まだ、痛むだろう?」
「……平気」
宵は晃の手から、自分の手を引っ込めた。包帯は取れたが傷や痣はまだ残っているし、折れた場所は炎症もあって腫れている。そのため不格好だ。擦り傷程度で済んだ左手とは違い、右手は醜い。
指はリハビリで使えるようになったとしても、傷痕まで完全に無くなることはないだろうと医師やリハビリを担当してくれるスタッフは言っていた。
仕方ないとたいして気にしてはいなかったが、晃に見られるのは抵抗があった。もう少し、痕が目立たなるまでは晃の目に触れさせたくなかったのに。
だが晃は、引っ込めようとする手首を掴み、中指の第二関節辺りを親指で軽く押す。

