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Memory of Night 2
第44章 リハビリとマッサージ

「……っ」

 強く圧迫されたわけじゃない。それでも痛みは強かった。指先がわずかに震えた。

「……まったく。強がりばかりだな、相変わらず」

 晃はわずかに笑った。どこか切なくなるような笑みで。

「まだ君一人で生活するのは大変だよ。俺も一緒に住む」
「もうちょっとで二次試験だろ? 俺の世話焼いてる場合? ……それに、せっかく家に戻ったのに、またこっちに住むのも変だろう?」

 東北から帰ってきた時から考えていた。晃は多分受験に合格するだろう。ここを離れて東京で暮らすようになれば、自分だけでなく家族ともあまり会えなくなってしまう。
 入院している間帰っていたのなら、わざわざ戻ってなどこないで実家に居続けた方がいいんじゃないかと思っていた。

「あと一ヶ月くらいじゃん、帰れよ自分ち」
「……やだ」
「そんな、駄々っ子みてーに……」

 苦笑いしかけるが、その前に唇を塞がれる。
 強引さはなかった。優しく上唇を吸われ、舌で唇全体を舐められる。それだけでぞくぞくした。共通試験の会場で一瞬だけのキスはされたが、それ以降会っていない。
 宵は目を閉じた。唇への愛撫は気持ちがよく、その感触に意識が持ってかれる。
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