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Memory of Night 2
第44章 リハビリとマッサージ

「ーー宵といたアパートに戻る」

 リュックを背に、玄関を飛び出そうとした晃を珍しく母親が追ってきた。
 夜勤明けで、帰ってきたばかりだった。

「晃、待ちなさいってば」

 左腕を掴まれ、晃は鬱陶しさに舌打ちしてしまいそうになった。いつもほとんど家に居ないくせに、なぜこんなタイミングで戻ってきてしまうのか。

「……何?」
「何って……どうして宵くんのところに戻るの? こんな大切な時期に。彼、大怪我しちゃったんでしょ? リハビリに通い始めたって他の看護師さんから聞いたわ。志穂さんと矢部先生と今一緒にいるんでしょ? 先生がついてるなら安心じゃない」
「宵、もうアパートに帰るって」
「……だとしても、別にあなたまで行く必要はないでしょ? もうすぐ二次試験があるし……」
「ちゃんと勉強はしてる! 受かるよ絶対」
「だったら、引っ越す準備もしなきゃ。もう一ヶ月ちょっとよ、このまま家に……」

 晃は無言で母親の手を振り払った。
 驚いたような気配がした。
 だが無視し、そのまま玄関を出ようとする。

「晃! ーーねえ、本当に宵くんは『お友達』なの?」

 晃は思わず足を止め、振り向いた。いつも明るく過保護な母の、普段とは違う眼差し。なぜか嘘はつけなかった。
 晃は首を横に振った。

「……宵はもっと、大切な人」
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