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Memory of Night 2
第45章 卒業

「あんたにはアッキーがいるじゃん」
「……あっちも受験だし、自分の試験勉強で手いっぱいだよ」
「それもそうか、二年の時からよく一緒にいるなーとは思ってたけど、付き合ってたんだね」
「まあ」

 最初からではない。付き合ったのは秋の終わりくらいからだったが、その前の関係性はさすがにバレたくはなかったので、宵は曖昧に頷くにとどめる。

「一緒に住んでんだろ?」
「うん」

 晃から直接聞いたのか噂がまわっているのかわからなかったが、共通試験の時に大胆なキスをかましてくれたせいで、晃との関係は広く知れ渡ってしまった。
 まあ別に、知られても宵は構わなかった。告白されても堂々と恋人を理由に断れる。それはそれだが、人前でキスはするな、と思う。

「リアルBL……」

 ぼそっと呟いた明に、宵は首をかしげる。

「それ、前バイト先の店長にも言われたけど、『びーえる』って何?」
「えっ、おまえそれも知らないのか?」

 大山が驚いたような声を出す。
 むっとしてスマホで調べようとすると、慌てて明が止めようとする。

「わざわざ検索しなくていいって、冗談だってば」

 その時、突然予鈴がなった。昼休みが終わる。
 こうして今のクラスでとりとめのない話ができるのも、あと少し。宵は乱雑に詰め込まれた机の中から次の授業で使う教科書やノートを準備しながら、思う。
 この教室とも校舎とも、友人やクラスメイト、教師達とも、もうすぐお別れなのだ。……不思議なほど実感は湧かないけれど。
 窓の外を眺めながら、次の授業の担当教師が来るのをぼんやりと待った。
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