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Memory of Night 2
第45章 卒業

 家庭学習期間に入ると、また勉強漬けの日々だった。目指す大学の過去問が纏められている赤本をひたすら解いていた。
 毎日のリハビリやマッサージで痛みもやわらぎ右手も動くようにはなってきたが、まだシャーペンを握り文字を書くのは難しい。左手で文字を書く練習もしていた。
 二次試験の日程は二月末。そのあとすぐに卒業式、合格発表と続くので、二月三月は気持ち的にもなんだかせわしない。
 そんな時だった。久しぶりに千鶴から着信が入っていた。今日は珍しく、バカみたいな数の履歴はなく一回だけだ。
 かけ直すと、二回目のコールですぐに千鶴は出た。

「はい、もしもしー」
「……もしもし。ちゃんと生きてて良かった」

 千鶴の声はいつも通りで、宵は少しほっとした。受験をするため、慌ただしく東北の病院を出てきてしまってから、そういえば一度も連絡を取っていなかった。

「何言ってんだ、当たり前だろうが! あ、メール見た?」
「え、メール?」
「電話の前に送ったから、すぐ確認して」
「……確認?」

 着信しか気付かなかった。通話を繋いだままメールを開くと、そこにはメッセージはなく、数枚の画像が添付されていた。
 驚いたことに、それらは全て雪の化け物姿の自分の画像だった。加工のない写真と、文字やキラキラ、グラデーションなどでポスターらしくなっているものがある。
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