この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Memory of Night 2
第45章 卒業

(懐かしい)

 ふいに宵はそんなふうに思った。出会ったばかりの頃は、よくそんな表情を目にしていたのだ。
 深々と一礼し、晃は答辞が書かれた用紙を開いた。
 低い、テノールの声が体育館内に響き渡る。

「校庭の梅の花がほころび始め、春の訪れを感じる今日(こんにち)、こうして皆様に祝福されこの日を迎えられたことを、大変嬉しく思います。本日はお忙しい中ご臨席くださり、誠にありがとうございます」

 再び深々とお辞儀をし、卒業生代表としての挨拶は続く。
 普段なかなか使わないような言葉が並ぶが、晃はつっかえることも噛むこともなく、聴きやすいボリュームと速度で流麗に読み上げていく。
 卒業生も在校生も、みんな晃に釘付けだった。
 宵も他の生徒たちと同じように、晃の声に聴き入っていた。
 だが、そこで挨拶は途切れた。唐突に晃が答辞の書かれた用紙を畳み、壇上に置いたのだ。
 まだ終わってはいないはずだ。三年間の振り返りの途中、急にどうしたというのか。
 生徒たちも、わずかだがざわついた。
 晃は紙は開かずに、再び顔をあげた。

「ーーここからは少し、自分の言葉で話させてください。カンペも無いので、多少お聴き苦しいかもしれませんが」
(え……? カンペって)
/861ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ