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Memory of Night 2
第45章 卒業

「自ら掃除を? 熱心ですねぇ」
「いえ、この時間は暇ですから」
国公立の前期の合格発表が順次始まっているため、日中は合否の連絡が絶えない。特に午前中は。
倉木は学校でも、自分の携帯に直接でもいいので、生徒たちに合否の連絡はするようにとお願いしていた。
希望の大学に進学できた生徒も、中期や後期にかける生徒も、第一希望を諦め私立に進む生徒もいる。一人一人丁寧に報告を聞き、一緒に一喜一憂した。
だがそれも日が沈む頃には途絶えていた。
(まだ連絡来てない子もいるけど……)
どこの大学がいつ合否の発表をするのかは、控えてある。今日結果がわかるはずなのに連絡が来ていない生徒も一人いた。
「初めてクラスを受け持って、いかがでしたか? ……いろいろ、その、問題もなくはなかったクラスなので、まだ若い倉木先生には荷が重かったのではないかと」
「はあ、まあ」
倉木は曖昧に頷いた。
不純異性交遊、警察が絡むような喧嘩、入院騒ぎなど、挙げると意外とたくさんある。
問題が無かったわけではないが、何しろクラス担任という役割自体が初めてなので、他のクラスと比べることもできない。
それでもこの三年間を振り返ってみれば、楽しかった思い出の方が勝(まさ)っていた。

