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Memory of Night 2
第45章 卒業

「全部ひっくるめて、いい経験になりました。それに、一人一人きちんと向き合えば、みんな素直ないい子達でしたよ。ーーこのクラスの担任になれて、良かったです」
それは本心だった。今の倉木の素直な気持ちだった。
「なら、安心しました。また来年もよろしくお願いいたしますね」
「はい、頑張ります。ありがとうございます!」
おや、と思う。まだ正式に人事は発表されていないが、来年も新たな学年のクラス担任にしてもらえるのだろうか。
丁重に頭を下げると、校長は去っていった。
「さて、ロッカーだけ拭いたら帰ろう……」
もう三分の二は終わっている。再びかがみ、残りを黙々と掃除していた時だった。
「ーー先生」
突然背後から声をかけられ、倉木は飛び上がりそうになった。
「あら」
振り返ると、そこには自分のクラスだった一人の少年が立っていた。
卒業式を終え巣だっていったはずなのに、どうしたというのか。
「ごめん、驚かせた?」
「ええ、びっくりしたわ」
倉木は笑った。一つ聞きたいことがあったから、ちょうど良かったのもあった。
「今日合否発表でしょ? ……どうだった?」
「あ、受かってた」
「本当? おめでとう!」

