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Memory of Night 2
第45章 卒業

 唐突な質問の意図が理解できず、倉木は問い返した。
 少年は、グレーの目をわずかに細め、言葉を探すような間をあけた。

「知り合いに、酒が好きな人がいるんだけど。飲み癖が悪いんだよね」
「へー、怒り出すとか?」
「いや、記憶無くなるまで飲んで、次の日酷い二日酔いとか」
「……あらまあ、それはずいぶん」
「……酒と煙草さえあれば、嫌なこと忘れられるんだって」
「ーーそれはダメな飲み方ね」

 倉木は一蹴した。知り合いを悪く言いたいわけではないが、それはよくない飲み方の典型例な気がする。

「確かにお酒は適量であれば、ストレスを緩和させてくれる。体がリラックスできるからね。でもあくまで、それはオマケの効能だと思うわ。ーーどうせ飲むなら、まずは楽しく飲まないと」
「……夏入院してたくせに」
「あれは生牡蠣にあたったんだってばっ! 別に酷い飲み方をしてたわけじゃないよ」

 倉木は笑った。

「今度連れていらっしゃい! 楽しい飲み方を教えてあげる。なんなら君にもね」

 ーーもちろん、二十歳過ぎたら。
 そう続けようとしたのだが、別の声によって遮られた。

「ーー未成年に飲酒をすすめるの、犯罪ですよ」
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