この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night 2
第50章 episode of 0
普通に働いていているだけで、手を出されそうになってしまうなんて。だが、桃華の美しい外見ならそうなるのもわかる気がした。
長い沈黙の中、やがて桃華は右手を軽く握りながら重い口を開いた。
「手を……出しそうになってしまったので」
(加害(そっち)!?)
秋広はつい、口を挟んでしまいそうになるも、ぐっと堪えた。
手を出されそうになったのではなく、出してしまいそうになったのか。そしてそれは、セクハラなどの性的な意味ではなく拳を使う方なのだろうとも、想像がついた。
「そんなことがねえ。まあ、出しそうになっただけなら問題ないよ。実際出してなければ」
藤巻は笑いを堪えるように顔を伏せ、伝える。
それから一度ごほんと咳払いした。
「……くどいようだけど、ごめんね。神谷くんから聞いてると思うけど、ここは建設会社であり肉体労働がメインだ。もちろん、香椎さんが女性だからという理由で差別したりはしない。他の従業員達と同じ仕事をしてもらうつもりだし、同じお給料を払うつもりでいる。ただ、男ばかりの職場だからね。もし現場で何かあった時に、その場にすぐ駆けつけられるかはわからない。ーーもちろん私は従業員達を信じているし、決してそんなことはないと思っているが、もしもの時は自衛してほしい。それだけ了承してくれるなら、うちは大歓迎だよ」

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


