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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
桃華が配属された現場は、ある程度人数が多く彼女について教えられる人間がいるところを選んだ。資格も実務経験もないようなので、まずは見習いとして、基礎からしっかり学んでもらうためだ。
藤巻と相談し、秋広自身が世話になっていた先輩が配属されている場所に行ってもらったのだった。
週末の金曜日になっても、特に桃華本人やそこの現場で働く人間から相談の電話は来ない。
だが、秋広は彼女が気がかりだった。女性だからということも理由の一つだが、それに加えての気の強さも心配の種になっていた。エレベーター前で吐き捨てた暴言を思い出し、秋広の口からため息が漏れる。
藤巻社長が懸念していた通り、周りから反感を買わないだろうか。
秋広は一週間ほど悩み、様子を見に桃華が働く現場へと足を運ぶことにした。
そこは学校だった。女子校と男子校が合併し、それに伴い校舎が新しくなる。一度解体され、生まれ変わるのだ。
社名が載ったオレンジ色のビニールシートに囲まれたその場所に足を踏み入れると、砂ぼこりと鉄屑の臭いがした。
懐かしい、と秋広は思った。
「あ、秋広じゃん」
その声に振り向くと、同期の相澤(あいざわ)がいた。

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