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Memory of Night 2
第50章 episode of 0

「切った。……何か用ですか?」

 桃華には変わらず笑顔がない。
 冷たい視線にも変化はなかった。

「特に、用というわけでは……。実際に仕事始めてみてどうですか? もし困ったことなどあったら……」
「大丈夫です」
「そ、そっか……」
「はい。それだけですか?」
「そうだけど……」
「では、仕事戻ります」

 会釈と共に踵を返し、桃華は作業へと戻っていった。
 後ろ姿に秋広はさらに驚く。短髪なだけでなく、後頭部は刈り上げられていた。面接の時に見た印象とはだいぶ違う。

「……ぶっちゃけ、愛想もないし見た目あんなだし、あんま女性って感じもしないけどな。仕事は真面目だよ」
「……そうなんですね」

 それが聞けただけでもひと安心だ。ほっと胸を撫で下ろす秋広に、相澤はすっと右手の小指を立てた。

「なあ、もしかしてあの子、秋広のコレ?」
「え……え!?」

 一瞬遅れて小指が示す意味を理解し、秋広は真っ赤になってぶんぶんと首を振った。

「そ、そんなわけないでしょ?」
「なんだちげーのか。女性雇うの珍しいし、わざわざ様子まで見にきてたから、てっきり特別な子なのかと思ってた」
「そういうわけじゃないよ。求人に男性限定って明記するの忘れてて……」
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