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Memory of Night 2
第50章 episode of 0

 だがそれは、秋広自身も納得してそうしたのだ。

「子供の頃は言えなかったけど、今はちゃんと料理が好きなことも伝えてますよ。たまに母が家に来たときは作ってますし。理解してもらえてないわけでもないです」

 秋広は、ニュアンスをちゃんと伝えたくて、言葉を探した。

「……僕、子供の頃ちょっと抜けてる子だったんですよ」
「……『ちょっと』?」
「え?」

 桃華が何か言いかけたが、秋広は聞き取れなかった。聞き返す前に、桃華はなんでもない、と付け加える。
 きょとんとする秋広に、いいから続き、と桃華は促す?
 秋広は慌てて頷き、小学生だった頃の自分のやらかしを一つずつ思い返していった。

「忘れ物も多いし、テスト範囲間違えて赤点とか、体力テストの前に怪我して受けられないとか、そういうこともたびたびありましたね」
「……なんかわかる気がする」
「はは。ーー母は僕のことが心配だったんだと思います。男らしく、としっかりしなさいが母の口癖だったんですが、多分僕が大人になった時にちゃんと外で生きていけるように、あの頃は料理を手伝うのをやんわり止めたんじゃないかなって」

 なんとなく、だ。当時の母の口ぶりは、否定的な意味合いではなかった気がする。
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