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Memory of Night 2
第50章 episode of 0

「あ、このばーさ……じゃなくて、この女性はここの大家(おおや)さん」
「初めまして、トミと申します。あらあらあんら、モモちゃんにこんな素敵な人が居たんだねえ」
「え、や、僕はただの会社の……」
「あ、カレーちょっと甘いかも。ルー間違えて買っちまってねぇ。甘口じゃどうかねえ。口に合わなかったら、なんか足しな」
「別に大丈夫ですよ。いつもありがとうございます」
「いいんだよ、お父さんと二人だかんね、食べきれたい分をお裾分けしてるだけなんだから」

 ぺこり、と綺麗に90度のお辞儀を披露し、大家は玄関を出ていった。
 なんとも一方的だった。桃華は慣れているのか、大家から受け取った大きなタッパーを二つ抱え部屋へと戻っていく。

「あの、いろいろと誤解……」
「いーよどうでも。あのばーさん人の話あんま聞かないから、好きに思わせておけば」
「で、でも」

 部屋に上がってしまっているのだ。絶対に、桃華と特別な関係だと思われてしまった。
 本当に良いのだろうか、と焦る秋広に対し、桃華は別のことで悩んでいるらしかった。

「カレーとか煮物って冷蔵庫入れずに何日もつ?」
「今の時期は涼しいので、常温でも三日くらいはもつんじゃないですかね? ……煮物にジャガイモって入ってます?」
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