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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
ほんの少しの間のあと、どこか他人事みたいな口調でそう返ってくる。その言い方で、もしかしたら何年も連絡を取っていないんじゃないかと予想できてしまった。
ーーあんたは上手くやれてんだな。
初めて手料理を振る舞った日、そんなふうに呟いていたのを思い出した。
桃華は自分に、親に好きなものを理解してもらえないのは窮屈じゃないのかと聞いた。それはもしかしたら、自分自身の実体験から出た言葉なのではないか。
「桃華さんは、窮屈だったんですか? 東北で家族と暮らすの。だから一人でこっちに来たんですか?」
質問だけみると唐突だったかもしれない。
すぐには返答がなく、桃華はどこか空虚な眼差しで窓を見ていた。
「……まあ、窮屈だったねえ。考え方が合わなかったのもあるし。実家が工場だったから、普通の家とは少し違ったってのもあったかも」
「工場、だったんですね……。自営業とかだと、手伝ったりもしなきゃですもんね、そういうのが大変だったんですか?」
桃華の履歴書を見た時に書いてあったので、本当は知っていたが、秋広は初めて知ったふりをした。彼女の経歴を覚えていて、気味悪がられても、などと気にしてしまう。

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