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Memory of Night 2
第50章 episode of 0

「そういうのは別に。うちの仕事嫌いじゃなかったし、短大卒業してからはそのまま働いてた」
「あ、そうなんですね。言われてみれば、確か履歴書に書いてありましたよね」

 そこで思い出したふりをした。だが本当は、その工場の名前までもをしっかりと記憶していた。

「じゃあ、どういうところが窮屈で、関東(こっち)に出てきたんですか?」
「決定的なのは、見合いさせられそうになったからかな」
「見合い!?」

 秋広はつい大声をあげてしまう。それは初耳な情報だった。もちろん履歴書にもない。あるわけがない、桃華の恋愛遍歴など。

「……なんだよその反応。あたしに浮わついた話がくるのがそんなにおかしい?」
「い、いえ……」

 軽く睨まれ、秋広は慌てて首を振った。
 おかしくなどない。むしろ桃華の容姿なら、そんな話が一つもないほうがおかしいくらいだ。だが、酷く動揺し、衝撃を受けている自分に秋広は驚いていた。
 同時に、一つ疑問が生まれる。
 故郷を窮屈だと思った理由が見合いとは、どういう意味なのだろう。

「見合い相手が嫌だったんですか?」
「いや、見合いが嫌だった。……先にあるのは結婚とかそういうのだろ? それが嫌だったんだよ」
「そう……なんですね」
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