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親友のカレ
第1章  親友のカレ
 


『えっ…。…なんで、ここに…』


ぽかんと口を開けた私と、同じ歩幅で隣を歩き始める彼。


「俺の家もこっちなんだよ。真奈を駅まで送り届けたから、帰って来ただけ。…にしても、あんた歩くの遅すぎ。追いつくと思わなかったし」


彼が隣に居るだけで、いつもの見慣れた景色が違って見える。


『…そ、そうですか…』


隣同士で歩きつつも長い沈黙が続き、二人の足音だけが夜の道に響き渡る。

人見知りの私は 気まずいとは分かっていても、どういう風に話し掛ければいいのか分からない。

だけど、彼も特に何かを話そうとしているようにも見えず、このままでもいいのかもしれないと感じた。


「あんたって、彼氏とかいないの?」

『えっ…。…いません…、けど…』

「ふーん…」


ふと、口を開いた彼の指先が私の手首に触れ、思わずビクリと肩が跳ねる。


「…もしかして、処女?」

『なっ…!ち、違いますっ…!』


やっぱり、私が感じたものは間違っていなかった。

だけどきっと、真奈は知らない。


「嘘つくの下手って言われない?顔に出てる」

『っ…嘘なんかじゃ…!』


彼が、女慣れしていること。




「──だったら、しようよ。俺と」


肩に腕を回され、覗き込むようにして近づけられた綺麗な顔が視界を覆う。

そして……

抵抗する間もなく、奪われてしまった唇。


『んっ…!』


角度を変えながら何度も重なり、息苦しくなって開いた唇の隙間から、舌が差し込まれる。

ドンドンと胸を叩いて必死に離れようと試みるが、後頭部に移動してきた彼の手がそれを許さない。


『んぅっ…。…はぁ…っ…、んっ…』


それからしばらくの間、クチュクチュといやらしい音を立てながら私の口内で絡み合った舌が、透明な糸を引いてゆっくりと抜かれた。


「…キスも下手すぎ」


キスの間、息をしていなかったせいで酸欠状態になり、ぐらりと傾いた私の身体を彼の腕が抱きとめる。


「…俺が教えてあげる」




それから……


 
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