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絶対的下僕の末路
第1章 【玩具はお前だって言ってんの】
「緒方さんって性欲ある?」
大学に入りたての頃、こんな事を面と向かって聞いてきた人が居た。
それなりにそこそこモテているんだろうなと思う甘いマスクした男の子。
同じ歯学部の彼が私にそう言ってきたのには理由があった。
毎日真面目に授業を受け、筆記や実技試験も常にトップクラスで特待生な私に隙きはないらしく、講義のない時間帯は図書館や居残って実技レッスンを受けていたのを知っていたみたいだ。
隙きがない?自分にストイックなだけ。
中途半端が嫌いなの。
わかんなかったらわかるまで頭に叩き込むのが常識でしょ?
妥協なんかしない。
「何かに取り憑かれたみたいに勉強熱心だから単純に性欲とかあるのかな?って」
座って参考書を見ていたけど、立ち上がった私は彼の前に立った。
少し退屈していたのも相まって、ちょうど良いなんて思ってしまったのだ。
「面白い質問ね、あるよ…性欲くらい」
「へぇ、それって人並みに?」
何かと回りくどい言い方するのね。
そういう男はあまり好みじゃないけど。
「人並みってどんなものなのか良くわからないわ……でもそうね、例えば…」
着ていた白衣を引き寄せ唇が触れる寸前まで近付いた。
「ここに燃えたぎるような口づけをして、ベルトを外しズボンの中に手を入れたり、思いきり首筋に歯型つけたいくらいめちゃくちゃ身体が火照ってる時くらいあるよ?普段は見せないけどね」
鼻で笑ったらちょっとビビっちゃったみたい。
冗談で言ったつもりが本気と受け取っている。
訂正もしないけど。
「試してみる?」
私からけしかける事なんて有るはず無いのに興味本位で頷いたりするからそのまま予告通りの熱いキスを。
誰も居ない使われてない一室で私はまだ名前もうる覚えな彼と一線を越えた。
セックスなんてきっかけさえ与えてあげれば何処であろうと出来たりするものよ。
汚い精液吐かせたところで私にしてみればゲームは終わり。
だから容易く連絡先聞いてこないで。
「ごめん、そんなつもりじゃないから……あなたの質問に真摯に答えただけ、じゃあね」