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絶対的下僕の末路
第3章 【誰が休んでいいと言ったのかしら】
本当にわかってるの?
クルリと振り返って伊織だけに聴こえるトーンで耳打ちする。
「今日あんたの溜まってる分、全部絞り出すから」
わかったら黙ってついて来い…とばかりにアイコンタクトして足早に駅前へ向かう。
おそらく終始真っ赤なおサルを引き連れてスタバに到着した。
ソファー席に座って顎で伊織を指示していつものラテを買いに行かせる。
毎回決まって注文するから言わなくてもわかっていてちゃんとアイスなのかホットなのかも顔色で察するのだ。
その点は使える。
抹茶フラペチーノを飲みながら先に添付して送っておいた録音をイヤホンで聴いた真帆が伊織が注文しに行ったのを見送ってから呆れた顔して言ってきた。
「あんた危ない橋渡り過ぎ……これで向こうも盗撮してたら逆に沙羅が強請られてたんだからね?今回でマジ勉強しなよ?録音はちゃんと私が保存しておくから」
「はーい」
「軽っ!危機感ないな!」
「大好きだよ、真帆」
「はいはい、ていうかマジで教授クラスはやめな?独身だから良かったものの…いや、良くないわ!」
「真帆、ごめん」
言葉を遮るべく真面目に見つめて言ったら、まだお説教したそうだったけど「わかれば良いの」とお許しを頂きました。
ホッとして笑みをこぼしたら、それを見ていたニつ隣の席に座る男性客二人がこっちへ来て「どこの大学?」と声を掛けて来た。
真帆が追い払おうとしてくれたが、それより早く間に割って入ったのは伊織だった訳で。
「お待たせ、沙羅ちゃんアイスで良かったよね?」
「ん?あぁ、うん」
自分の身体を盾にして相手側に私を見えないように立つ。
男性客側にチラッと振り向いて久しぶりに聴く伊織のドスの利いた声。
「俺の女に何か用っすか?」
思わず吹き出しかけた。
“俺の女”って言っちゃってるよ。
さっきまでのオドオドはどこ?
「あ〜いや、何もないっす」と男性客たちは店を出て行った。
出て行くまで目で追っていたので無理やり隣に座らせた。
私を見た瞬間、いつもの伊織に戻るの。
「買って来るの遅くなってごめん、ナンパ追い払ったけどダメだった?」