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絶対的下僕の末路
第3章 【誰が休んでいいと言ったのかしら】
へぇ、いい度胸してる。
声の主は一発で女だとわかった。
私にバレるとマズい相手なの?
場所を変えようとした伊織の首根っこを押さえる。
冷や汗タラタラ流してどういうつもり?
此処で話せよ。
「あ……そうなんだ?いや、でも僕ちょっと用事があって、ううん、無理…」
歯切れの悪い会話。
向こうはガンガン誘ってきてんじゃん。
イライラのボルテージがどんどん上昇していく。
「わからないとこあったら中畑さんに聞いたら良いよ、僕もまたお店で教えるけど、とにかく今は……」
切ろうと必死な伊織をバックハグしてわざと耳元で囁くのは牽制として当然でしょ?
「伊織……早くさっきの続きしよ?」
「えっ!?あ……ごめん、切るね?」
慌てて切って私の方へ向いた途端、脚で蹴り飛ばした。
尻もちをつく伊織は「違うんだ」とどうでも良い言い訳を並べてくるだろう。
「帰るわ」
「待って、沙羅ちゃん!今のはバイト先の子で、本当に何もないんだ、ただ教育係しているだけだから」
「ああ、言い訳とかいらないから、とりあえずその手離しな?気持ち悪い」
「あ……ごめんなさい、でも沙羅ちゃんが思うような関係じゃ…」
あまりにもイライラしてすぐ手の届く位置にあった分厚い参考書を投げつけてやった。
身体に当たって落ちる。
鍛えてるから何の痛みも感じないだろうけど全部言い訳に聴こえて拒絶反応してしまう。
わかってる……伊織が嘘つくはずないって事くらい。
目を見ればちゃんと伝わるはずなのにそれを心が拒む。
「わからない事があれば連絡しても良いですかって言われて…ごめんなさい、番号教えちゃいました……でも今かかってきたのが初めてで、それ以外は一切何も」
必死かよ。
そんなのでイライラしてんじゃねぇよ。
馬鹿か?
「もうあんたが浪人しようがどうでも良くなったわ、二度と関わらないでくれる?顔も見たくない」
「沙羅ちゃん!それは嫌だ!バイト辞めるから!新しいとこでも絶対女の子とは関わらない!番号も消すから!お願い!沙羅ちゃん許して!許してください!」