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絶対的下僕の末路
第3章 【誰が休んでいいと言ったのかしら】
汗びっしょりの背中。
「え?緒方さん、これって何?」って状況を把握出来てない井口くん。
そんなの私が知りたいよ。
私に見せた横顔がいつになく狂気に満ち溢れていて一瞬でもキュンとした自分が憎い。
「あぁ、ごめん、やっぱ相手するのナシで」
「え?え?」
私と井口くんのやり取りに「じゃ、そういう事なんで、これからも彼女に近付くのはやめてください」と言い放ちエレベーターの扉を閉めた。
ポカンと口を開けたまま上がってく私たちを見上げてる。
エレベーターが動き出してからも狂気付いた眼差しで私を押し倒す身体に触れるので精一杯だなんて。
「もう僕以外で満たそうとしないで!何回繰り返すの!誰にも触れて欲しくないよ……」
「どの口が言ってるの?」
「僕には沙羅ちゃんだけだって信じて……お願い」
「足りないのよ」
「え?」
「全然足りないの、私にとっての下僕が」
「僕だけじゃダメなの?」
「もうあんたは要らない、狂犬だから」
エレベーターが止まり、階に到着した。
バックから鍵を出し開ける。
「聞こえなかった?要らないって言ったの」
あわよくば一緒に入ろうとする伊織を牽制した。
俯き唇を噛む仕草ももう見飽きたのよ。
自分だけ入り扉を閉めようとした。
女の力では防ぎきれないほどの腕力でこじ開けてきて扉を閉めたのは伊織。
「帰らない…!このまま沙羅ちゃんを一人にしない…!狂犬……だから」
鼻水垂らして泣き喚いて煩い。
ちょっとはこっちに涙分けてもらいたいくらいだわ。
部屋に上がりティッシュを取ってくる。
「ごめんなさい」と拭かれてる伊織を許した訳じゃない。
「携帯出して」
素直に渡す伊織の携帯のロック解除もお手の物。
パスワードも全部私の手の中。
見ればすぐにわかる。
「これ誰?女だよね?」
「あ、店長さんです……休む時とかシフトの事で連絡頂いたりこっちからもしたりで…」
女の店長かよ。
スクロールして数人ピックアップする。
画面を伊織に見せてその場で削除した。
怒りで携帯を投げつけて返す。