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絶対的下僕の末路
第4章 【だから命令してあげてるじゃない】
廊下だから見てる人も居たかも知れない。
うちは特進クラスだからほとんど参考書見てると思うから大丈夫かな。
そっちのクラスが見てたかもね。
恥ずかしい?
もっと恥ずかしがりなさい。
唇に付着したグロス。
親指で触れてこう言うの。
「私が講義終わるまで取っちゃダメだよ?今のキス思い出しながら講義受けて…」
「わ、わかった」
「ん…?返事の仕方忘れた?」
「あ、はい……わかりました」
「じゃ、またね」
講義室に入れば真帆と一緒に座ったがその逆隣に座ってきたのは忘れかけていたが井口くんだった。
めっちゃ気不味い。
とりあえず頭下げて謝ろう。
「昨日は…ごめんね」
顔を向けるとこっち見て膨れっ面の井口くん。
だよね、自分から誘っておいて伊織を選んだんだもん。
なになに?と真帆も興味津々だ。
怒って当然だ…と思いきや頭をポンポンとしてきた。
「彼も歯学部生だったんだね、付き合ってるのに俺を誘ったの?」
井口くんの言葉に全てを察した真帆はアチャーと顔を覆う。
「付き合っては…なかった、いや、今も付き合ってないか」
自分で言い訳しながらわからなくなってきた。
まとまらない答えに大きな溜め息を食らう。
「よくわかんないけどさ、ずっと前から彼の方が好きみたいだしあんなに熱くなられると完敗だよ」
まさかの敗北発言に驚いてしまう。
いや、悪いのこっちだから。
今後は気をつけます。
「井口くんごめんね?この子、彼が居ないと人生狂っちゃうくらい好きなのよ、自覚してないだけで」と横から真帆も参戦する。
自覚……したわよ、昨日。
「彼、ドMなんだ?」
私にだけ聞こえるトーンで聞いてくるから頷いた。
「ごめん、他に目がいかなくなるくらい手放したくない男なの」と耳打ち。
「うわ、マジか、羨ましいー、男として言われてぇ〜緒方さんに」
「え、なになに?」って真帆が私に身体を寄せて来たところで教授が入って来たので話は途切れる。
伊織と、付き合ってるのか?
仲直り的な事はしたけどそもそも元の関係に戻っただけでは?
曖昧なままで良いのか。
いや、良いんだろう。
主従関係のままで。