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トパーズ
第16章 パリへ
一番チケットが取りにくくて航空券も高い時期なのに、
あっさりチケットは確保出来た。

横浜の叔父様がパイロットをしていることと関係があるのかはよく判らないけど、8名分、往復のビジネスクラスの直行便で出発した。


今も大学で教鞭を取りながら弁護士をしている祖父とは本当に久し振りに会えた。
顔合わせの時は、出張で会えなかったからと詫びていた。


着物姿の祖母はもっぱら、山田くんのお祖母様と楽しそうに話をしていて、
たまたま学部は違えど同じ大学だったというお祖父様と祖父も楽しそうに話をしていた。


お父様は静かにお母様の手を握り、
お母様はうつらうつらと眠っているようだった。


私も、山田くんの手を握りながら、
眠ったり、亡くなった父の話や破天荒な母の話をしていた。


途中、食事が出たり、暗くなったりしながら、
シャルル・ド・ゴール空港に到着した。



空港では、母とパートナーのピエールが大きく手を振りながら出迎えてくれた。

ハグしてキスの嵐なのを、
周りはポカンと見ていた。

山田くんも、熱烈なハグとキスの洗礼を受けていた。
フランス式の挨拶、
初めてでびっくりしていたみたいで、
笑ってしまった。


小型のバスをチャーターしてくれてて、
一台の車でホテルに移動した。

五つ星のホテルは格調が高くて、
とても気取っていたけど、
母が多分根回ししたらしく、
VIP待遇でチェックインからお部屋への入室までスムーズだった。


「まあ、麻衣子さんはフランス語も出来るのね?」と、
お祖母様が感心して言うので、
「日常会話程度です」と言って笑った。


「じゃあ、お買い物にも付き合って貰いたいわ?
フランス語出来た方が、
待遇違うでしょ?」と、
女学生のような無邪気な顔で笑った。



部屋は、
山田くんの両親、
山田くんのお祖父様とお祖母様、
私の祖父母、
そして、山田くんと私になっていた。


「えっと…まだ結婚前で、
婚約もこれからですけど…?」と言うと、

「良いじゃないの?
なんなら、このまま、入籍しても良いわよ?
私、岳人さんとなら、
本当に嬉しくて!」と母が言う。


えっ…
そんなの、大丈夫なの?
と思って、周りを見ると、
皆さんもニコニコしている。
気難しい祖父まで笑ってるから、
本当に驚いてしまった。
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