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トパーズ
第18章 オータム・イン・ニューヨーク
古ぼけたネームカードの住所と携帯のマップで、
簡単に画廊に辿り着けた。

ウィンドウはクリスマスを意識したディスプレイで、
中には小さい写真の額が置いてあった。

覗き込んで見てみたら、
岳人さんのお母様の若い頃の写真だということがすぐに判った。
後ろには少しぼやけてはいるけど、
大柄な男性が優しく肩に手を当てて、かがみ込むようにしてお母様を見つめている。


手を繋いで、
暫くその写真を眺めていた。

岳人さんは静かに涙を流していたので、
背伸びして指で拭った。


「指が冷たいね?
手袋、買わないとね?」と優しく言って、
そっと笑ってくれる。


ドアが静かに開いて、
大柄な男性が静かに声を掛けてきた。


「寒いから中にどうぞ」


すぐにその男性が、
ミケーレだと判った。


中に入ると、
いくつかの絵や写真が展示されているけど、
人の姿はなかった。


「作品、観せていただきますね?」と言って、
2人でギャラリーの中をゆっくり歩いた。


岳人さんの手が震えているので、
私はギュッと手を握り締めた。


たいして広くはないので、
あっという間に一周してしまった。


「コーヒーでも?」と言われて、
遠慮しようとすると、
「ここは少し寒いから奥へ…」と、
先に歩き始める。
軽く脚を引き摺っているので、
「大丈夫ですか?」と手を差し伸べると、

「英語が流暢ですが、日本の方ですか?
日本女性は、優しいですね?」とチャーミングな顔で笑った。

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