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トパーズ
第18章 オータム・イン・ニューヨーク
「遅くなっちゃったね?
そろそろ失礼しないと…」と岳人さんが静かに言いながらギターの弦を緩めてケースに入れる。


「このギター、良かったら持って帰ると良いよ。
ここにあっても誰も弾けなくて可哀想だから」とミケーレが言った。


何て答えるのかなと思ってたら、
少し沈黙した後、
しっかりとした声で言った。


「また来た時に弾きたいから、
ここにギター、置いておいてもらえると嬉しい…」


「えっ?」


「僕の父は…日本にいるお父さんだけだけど…。
遺伝学上のルーツはミケーレだから。
会った瞬間に判った。
何て言って良いかも判らなかったけど、
言わないと後悔すると思って…」
そこまで言うのがやっとで、
肩を震わせながら泣いていた。


「二度と会わないと思ってたけど…
やっぱり、もっと会いたい。
家族も居なくて一人ぼっちだって言ってたけど、
1人じゃないよ?
僕も居るし、麻衣子さんも居るよ?
お母さんは、申し訳ないけどお父さんのものだけど、
僕だったら…」


「ありがとう。
タケヒト、ありがとう。
リカは愛されてて幸せなんだな?
それなら良いんだ。
ここに居た頃は、
誰からも愛されてないと言って、
とても哀しい顔をしていて辛そうだったから、
精一杯、愛したいと思っていた。
突然、居なくなってしまって、
東京に探しに行ったこともあったけど、
とても探し出すことは出来なかった。
息子が産まれたことすら、
知らなかった。
だから…タケヒトに会えたことだけでも、
神様に感謝するよ」


「あのね、
明日が最後の日なの。
明後日の飛行機で帰るから、
明日もご一緒しませんか?
くるみ割り人形のバレエ、観に行きたいの。
頂いたふわふわのロングドレス着て行くから、
2人でエスコートしてください」と言うと、
2人とも泣きながら私をハグした。


「岳人さんは幸せね?
私なんてパパは早くに亡くなっちゃったし、
再婚したママは、新しいパパとフランスに行っちゃったでしょ?
それなのに、岳人さんは、
2人もパパが居るんですもの!
でも、ミケーレは私のパパでもあるのよね?
やった!」と言って、ミケーレと岳人さんの頬にキスをした。


「私も、息子と娘が一気に出来た気持ちだよ?」と言うので、

「ちゃんと孫も抱かせてあげるから、待っててくださいね?」と私は笑って言った。
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