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そぶりをやめて
第1章 0日婚 ~当日
グループLINEではラチがあかないと思ったのか、殆どのメンバーからzoomでのパソコン通話を要求される
「まっけー、パソコン出せる? 私の、まだどこあるか」
予想より遥かに引越し荷物があって、午後からずっと夜の今までかかって、全然まだまだ片付けが終わってない。
3日ほど前に先に引っ越してきた佳祐だって、少しマシ、ぐらいだが。
「俺のはそこあるけどさ。えー、zoomするの?」
キッチンカウンターの隅に閉じてあるノートパソコンを見つけた。
初めて触るけど、遠慮なく広げて電源を入れる。
「しないとこのままスマホがずっと鳴り響くよ」
起動の間もスマホの音は鳴りっぱなしだ。
「そうかなぁ」
心底面倒くさそうに、佳佑が冷蔵庫から麦茶のポットを取り出している。
「ね、ちょっと。パスワード」
起動にパスワードがいるらしい。
「あー、はいはい」
コップに入れたものを半分ほど飲みながら、しぶしぶ汐里の隣に座った。
コップを置き、手を伸ばして、パパっとパスワードを入力する。
目の前に伸びてきたがっつりした腕に、若干ドキっとする。
「...」
「ありがと」
キッチンの細長いカウンターのすみっこに2人して並んでいるのが急に恥ずかしくなってきた。
しばし、汐里が動かすマウスやキーボードの音だけが鳴り響く。
この時間が気まずいと思っているのは、私だけだろうか。
「...ついた」
zoomが起動するまでがすごく長く感じた。
画面の向こうには数名待ち構えていて、またほどなくいくつか画面が増えてゆく。
「しおり〜!!!」
「ちょっとー!!教えてよー!!」
「おめでとさーん!」「パパこえだれぇ」
「やっだーほんとに〜!!冗談じゃなくて!?」
「きゃ!!2人並んでる!」
「まっけーやるな!」
LINEと同じく、みんなテンション高めだ。
佳佑と汐里は顔を見合わせて、とりあえず画面に向かって手を振る。
「指輪!?」
手を振ったことを勘違いしたゆーながひときわ大きな声を出す。
よく見れば指輪なぞまだしてないのだが、電波のセイか、見間違えてらしい。
「え。いや、指輪はまだー」
「たなっちがさぁ、文句多くてさぁ。注文してんの」
『たなっち』とは、汐里の旧姓である「田中」のあだ名だ。
しかし、そう呼んでいるのは、佳佑を含めて数名なのだが。
「まっけー、パソコン出せる? 私の、まだどこあるか」
予想より遥かに引越し荷物があって、午後からずっと夜の今までかかって、全然まだまだ片付けが終わってない。
3日ほど前に先に引っ越してきた佳祐だって、少しマシ、ぐらいだが。
「俺のはそこあるけどさ。えー、zoomするの?」
キッチンカウンターの隅に閉じてあるノートパソコンを見つけた。
初めて触るけど、遠慮なく広げて電源を入れる。
「しないとこのままスマホがずっと鳴り響くよ」
起動の間もスマホの音は鳴りっぱなしだ。
「そうかなぁ」
心底面倒くさそうに、佳佑が冷蔵庫から麦茶のポットを取り出している。
「ね、ちょっと。パスワード」
起動にパスワードがいるらしい。
「あー、はいはい」
コップに入れたものを半分ほど飲みながら、しぶしぶ汐里の隣に座った。
コップを置き、手を伸ばして、パパっとパスワードを入力する。
目の前に伸びてきたがっつりした腕に、若干ドキっとする。
「...」
「ありがと」
キッチンの細長いカウンターのすみっこに2人して並んでいるのが急に恥ずかしくなってきた。
しばし、汐里が動かすマウスやキーボードの音だけが鳴り響く。
この時間が気まずいと思っているのは、私だけだろうか。
「...ついた」
zoomが起動するまでがすごく長く感じた。
画面の向こうには数名待ち構えていて、またほどなくいくつか画面が増えてゆく。
「しおり〜!!!」
「ちょっとー!!教えてよー!!」
「おめでとさーん!」「パパこえだれぇ」
「やっだーほんとに〜!!冗談じゃなくて!?」
「きゃ!!2人並んでる!」
「まっけーやるな!」
LINEと同じく、みんなテンション高めだ。
佳佑と汐里は顔を見合わせて、とりあえず画面に向かって手を振る。
「指輪!?」
手を振ったことを勘違いしたゆーながひときわ大きな声を出す。
よく見れば指輪なぞまだしてないのだが、電波のセイか、見間違えてらしい。
「え。いや、指輪はまだー」
「たなっちがさぁ、文句多くてさぁ。注文してんの」
『たなっち』とは、汐里の旧姓である「田中」のあだ名だ。
しかし、そう呼んでいるのは、佳佑を含めて数名なのだが。