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そぶりをやめて
第5章 2ヶ月
「キャンプ?」

大きいほうのダンボールをひょいと掲げ、すたすた歩きだす佳佑を、慌てて小さいほうを持って追いかける。
車のロックもしなきゃだし、ちょっと慌てて落としそうになる。

まごまごしていると、ついて来ていない汐里に気付いた佳佑が歩みを止めて、振り返った。

「たなっち?なにやってんの〜」

1泊分の着替えや化粧品なんかが入ったカバンが肩からずり落ちそうになって、ダンボールを持つバランスがおかしくなり、変な歩き方でちょこちょこ歩く。
自分でも変な歩き方だとは思うけど、荷物を持ち直そうにもどうにもならない。

にやにやしながら少し戻って来た佳佑が、そのカバンを直してくれた。
これで少しマトモに歩ける。

「...ありがと」

荷物を抱え直して、マンションの裏通りを並んで歩く。

「新婚旅行、ホントは海外行きたかったんだよなぁ。エジプトとか、マチュピチュとかさ」
「あー、行ってみたいよねぇ」

今のこのカンジだと、海外旅行はもちろん、沖縄や北海道など、遠出は出来そうにない。

佳佑は勤務先の銀行から、このところ特に「他県に行ってはいけません」とクギを押されている。

「そしたら、しょーたがさ、色々教えてくれて」

汐里たちと同じ元同級生のしょーたは、無類のキャンプ好き。
それは、SNSで十二分に知っている。
コロナ禍ではあるが、キャンプならと。
小学生になる息子を連れて、あちこち行っているみたい。

「あ、あんなんじゃないよ。もっと初心者向けの、なんだっけ」
「...グランピング的なやつ?」

行ったことはないが、よくTVなんかでも特集されているし。
地方雑誌にもたびたびそのテーマは取り上げられていて、存在は知っているけど。

「そう、それだ」

グランピングなら、テントとか道具を買い揃える必要もないし。
場所によっては、テント内にエアコンが付いてたり、温泉施設が敷地内にあったりするらしい。

「どう?楽しそうじゃね?」
「うーん。でもキャンプでしょー」

キャンプってどうよ?

実家が田んぼの中にあって、ゆるやかな山だけど、すごく近い。
母方のじーちゃん家なんか、もっと山のほうだし。
ワザワザ同じような場所に行く必要性を感じなくて、今までもキャンプはしたことなかった。

それは佳佑も同じような。

「でも、どこも行けないより良くね?」
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