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そぶりをやめて
第8章 140日
「さぁさ、ご飯にしましょ」

お昼ご飯を用意して待っているとは聞いていたけど、お昼ご飯にはありえないほどのご馳走が並んでいる。

手巻き寿司がメインなのか、あらゆるお刺身や、野菜なんかが、全面に広がっていて。
他にも、尾頭付きの塩焼きや、お赤飯、具たくさんのサラダや、パスタなんかも見える。

「何がいいか分からなくて、いっぱい作っちゃった!」
とは、母親の千加子(ちかこ)。

「ビールは飲むかね?それとも日本酒かな?焼酎もあるけどな」
とは、父親の佳彦(よしひこ)。

「美佳たちも、彰佳も来ないのかね?」と、きえ。

美佳(みか)は、佳佑の姉で。結婚して近隣の市に住んでいる。
子どもが小学生なので、実家には来ないようにしてるらしい。

彰佳(あきよし)は、弟で、一応実家暮らしなのだが、少し街のほうに住んでいる彼女のアパートに入り浸りで、あまり帰って来ないとか。

「彰は、きょうは帰って来るって言ってたけどねぇ」

「もう食べよう」

「乾杯〜!!」

食べろ、食べろとよそってくれて。
飲め飲めと、注いでくれて。
聞いてはいたけど、歓迎ぶりがすざましい。






「疲れたーー!」

和室の布団の上に、スライディングのように飛び込む。

昼に始まった宴会は、夕方近くまで行われた。
なんとか片付けた頃、宴会は夜だと思っていた弟の彰佳が帰ってきて、また夜のプチ宴会となり。
また片付けて、順番に風呂に入って。
寝床の準備を手伝って。

深夜となって、やっと客間の布団の上だ。

「お疲れ様」

佳佑が差し出したのは、アイスだ。しかもいいやつ。
自分じゃ買わない、ブランドアイス。
しかも、クッキーみたいなのでサンドしているタイプ。
2種類を目の前に並べられて、ひとつ選ぶ。

「やった!え、いっこ?いいの??」

いつも、マンションでアイスを食べる時は、佳佑と半分こだ。

「うん。お疲れだろうからさ。俺もだけど」

そうですとも。そうでしょうとも。

あー、高級アイスが身に染みる。

こき使われたワケじゃないけど、お姫様みたいに崇め奉られるというのも、実に疲れた。

「そっちもちょっとちょーだい」
「俺もそっち気になる」

手を伸ばし差し出して、互いのアイスにかぶりつく。
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